いたや内科クリニックブログ

CLINIC BLOG

糖尿病内科

糖尿病の初期症状を記載します[東中野のクリニックです]

2023.12.16

糖尿病は初期症状が表れにくい病気と言われていて、自覚症状があった時にはすでにステージ症状が進んでいることも少なくありません。この記事ではわずかな変化でも気づけるよう、また糖尿病について正しく理解できるよう、糖尿病の初期症状について紹介していきます。

糖尿病の初期症状を記載します|はじめに
糖尿病の初期症状を記載します|糖尿病になる原因は?
糖尿病の初期症状を記載します|糖尿病の様々な初期症状について
糖尿病の初期症状を記載します|まとめ

糖尿病の初期症状を記載します|はじめに

厚生労働省の2016年における「国民健康・栄養調査」によると、糖尿病有病者と糖尿病予備群はあわせて1,000万人、日本の人口の割合でいうとおよそ10人に1人は糖尿病に関わりがある状況となっています。

糖尿病は総じて発症原因が明確化されていないものの、遺伝的な要素に加え生活習慣が原因となる部分が多いと見られており、現代の生活スタイルを送る日本人において増加傾向にあります。

そのためいまや誰がいつ糖尿病になってもおかしくない状況であり、事前に正しい知識を付けたうえで早いうちから予防をし、早期発見のきっかけとなる健康診断も毎年欠かさず受けることが重要です。

この記事では、上記のうちみなさんが糖尿病に関する知識を蓄えられるよう糖尿病の原因について触れたうえで、発症すると表れることの多い初期症状について詳しく解説します。

健康的な生活を送れているとは言えず自分の体型からも糖尿病のリスクが気になり出したという方、再検査には至らなかったものの脂質や血糖値の数値が年々上がっていて不安という方はぜひご覧ください。

なお「生活習慣で見るの調査・統計」では、糖尿病に限らず日本人が自覚症状のある様々な体の不調についてのデータがまとめられていたので、気になる方はあわせてご覧ください。

糖尿病の初期症状を記載します|糖尿病になる原因は?

冒頭でも述べた通り、糖尿病に共通する原因は決して多くはなく、はっきりしていない部分もあるのが現状です。

それでも長年のデータや研究によっておおよその傾向は表れており、糖尿病のタイプによって原因が全く異なっていることは明らかになっています。

ここでは1型・2型、その他タイプの糖尿病に分類してメカニズムや原因を紹介します。

なお糖尿病とは、体にエネルギーを送ったり、血糖値を下げる役割のあるインスリンが何らかの要因によって不足したり作用しなくなったりした結果、高血糖の状態が続いてしまい体に様々な障害が表れる病気です。

症状が進行すると、三大合併症(糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症)や動脈硬化を引き起こす可能性もあります。

1型糖尿病

膵臓のランゲルハンス島という部分に炎症が起こって、インスリンを作る膵β細胞が壊された結果インスリンが全く、あるいはほぼ分泌されない状態となり血糖値が上がってしますタイプの糖尿病です。

このタイプは生活習慣が関係しないため、肥満でなくても発症する人がおり、遺伝による要因は2型より少ないと言われています。

また年齢も幅広く、小児~思春期に多いものの中高年で1型に罹ることもあります。

近年では、ウイルス感染やストレスを溜めることによって免疫機能に異常をきたすという因果関係が強いという見方もされています。

自己免疫は本来、体に入ってきた細菌やウイルスを攻撃して守る役割を持っていますが、様々な起因によって膵β細胞を攻撃対象としてしまう状態となるのが1型です。

1型の90%程は自己免疫が関与する「1A型」に分類されますが、残り10%は突発性の「1B型」に分けられます。

また症状の進行の仕方によって、徐々に1型糖尿病「緩徐進行1型糖尿病」と数日の間に症状が悪化する「劇症1型糖尿病」に分類されあることもあります。

緩徐進行1型糖尿病は、当初2型糖尿病のような状態で発症したものの少しずつ1型の特徴が表れてくるため2型と誤診されることもあります。

劇症1型糖尿病は、初めて高血糖値の状態になったかと思えばその後急激に症状が悪化するものです。

なお日本人においては1型を発症することが少なく、北欧諸国に多く見られるという地域差がある他、日本国内においては女性の方が多く、欧米では若干男性の方が多い結果となっています。

2型糖尿病

日本人に多いタイプの糖尿病で、中高年や肥満の人が多く発症する傾向にあります。また1型よりも自覚症状が表れづらく、気づかないうちに進行していることが多いです。

遺伝的な原因もあると考えられていますが、食べ過ぎや運動不足、不規則な生活リズムといった生活習慣やストレスが直接の原因になっていることが多いタイプです。

そのため肥満の人が罹りやすいイメージがあるかもしれませんが、外見が肥満でなくても内臓に必要以上の脂肪が蓄えられるメタボリックシンドロームに該当する人が発症することもあります。

2型は十分な量のインスリンが分泌されなくなったり、分泌されるタイミングが悪かったりという「インスリン分泌低下」、分泌はされるものの本来の効果を発揮しなくなる「インスリン抵抗性」の2種類に分類されます。

2型の場合は生活習慣が関与する可能性が高いため、医師による治療とあわせて生活習慣の改善を続ける必要もあります。

また予防法としては、普段からバランスの良い食生活を摂る、適度な運動をする、ストレスを発散する、規則正しい生活をするということが効果的になります。

その他タイプの糖尿病

糖尿病の大部分は上記に挙げた1型、2型に分類できるものの、細かく見ると実は他にも種類があります。

一つは「妊娠糖尿病」です。これは妊娠中に発覚した糖尿病には至っていない糖代謝異常の状態を指しますが、この状態になった人は将来的に糖尿病になりやすくなると言われています。

赤ちゃんに十分な栄養を与えようとすることで高血糖になったり、インスリンを効きづらくするホルモンが胎盤から分泌されることが起因で、出産後は多くの場合で通常の血糖値に戻ります。

二つ目は特定の機序・疾患によるもので、遺伝子異常や膵臓病、内分泌疾患、肝臓病、免疫機序によるまれな病態、薬剤・化学物質、感染症などが起因する糖尿病です。

糖尿病のタイプについてはこちらでも紹介されていたのであわせてご覧ください。

糖尿病の初期症状を記載します|糖尿病の様々な初期の自覚症状について

糖尿病になった場合の初期症状においては1型、2型と大きな違いはありませんが、一般的に2型の方が自覚症状として表れづらいと言われています。

主な初期症状としては喉の渇き・多飲、多尿・頻尿、体重の減少、目のかすみ、手足の痺れ、全身の倦怠感、傷が治りづらい、肌の乾燥などが挙げられます。

インスリンが分泌されないことで血糖値が高くなり尿糖が排出されます。そうすると浸透圧利尿が増えるて脱水症状が起こります。

当然ながら脱水状態になれば飲み物を欲すため多飲し、多尿・頻尿になるという繰り返しです。

糖尿病になった場合の尿には多くのブドウ糖が含まれるため、普段感じることのない独特な甘酸っぱい臭いがすることがある他、尿に血液が混ざることもあります。

また体にエネルギーを送るインスリンが作用しないことで十分なエネルギーを確保できず、しっかり食べているにもかかわらず痩せていきます。疲れやすく、常に倦怠感がある状態にもなります。

さらにインスリンが全く出ない状態になると、昏睡状態や命に関わる可能性も高くなります。

糖尿病による昏睡は糖尿病性昏睡と呼ばれ、主に「糖尿病性ケトアシド-シス」と「高浸透圧高血糖状態」に分けられます。

糖尿病性ケトアシド-シスは1型に多い症状で、糖尿病発症時やインスリン注射を中断した際、感染症や外傷が原因でインスリンの必要性が増した時に発症しやすいです。2型でも同じような状況下で発症することがあります。

もう一つの高浸透圧高血糖状態は、高血糖や水分不足により血液濃度が高くなった時に起こる高齢者に多くみられるタイプです。

インスリンが足りていないわけではないので、症状が軽く済むこともあります。

目のかすみや眩しさを感じやすくなったり、飛蚊症の症状が起こるのも糖尿病の症状で、それまで使っていた眼鏡・コンタクトが合わなくなり、矯正もできないという状態になることもあります。

爪や足に出る症状

実は爪や足の状態によって糖尿病の可能性を確認することができます。これは血糖値が高くなることで血管が細くなり、そこまで栄養が届かなくなるためです。

爪に現れやすい症状としては、爪が丸まって生える「巻き爪」、爪が皮膚に食い込むことで炎症を起こす「陥入爪(かんにゅうそう)」、白癬菌というカビによる「水虫・爪白癬(つめはくせん)」、爪が厚くなる「爪肥厚」が挙げられます。

これらの症状が現れた場合は悪化させないように足を清潔な状態、蒸れないように通気性の良い状態に保つ必要があります。

足においては、血流が悪くなることで冷たくなったり痺れたりします。

また水虫やタコ、魚の目といった皮膚の病気や皮膚のただれ、変形、変色が起こることもあります。

さらに足指の感覚が鈍感になるため、怪我をして傷ができても痛みを感じづらくなります。そのため傷に気づかないなどで処置が遅れ、細菌が入り込んで足壊疽(あしえそ)になる可能性もあります。

足壊疽が進行すると足を切断しなければならない状況に陥る可能性も出てくるので非常に危険です。

靴ずれなどの傷が出来やすい状態にもなり、皮膚が掘れた状態がしばらく続く足潰瘍になることもあります。足潰瘍の状態で感染を起こすと傷の周りが赤くなって膿が出ます。

爪・足の症状に関しては外から見てわかる数少ない情報源なので、気になる方はぜひ自身で確認してみてください。

こちらでは糖尿病のサインについて簡単にまとめられていたのであわせてご覧ください。

足と爪に起こる異変については「糖尿病の足病変」「糖尿病と爪の関係|初期症状として爪に現れる変化」もご参照ください。

また糖尿病の末期状態については、こちらの記事で詳しくまとめられていました。

糖尿病の初期症状を記載します|まとめ

  • 糖尿病は自覚症状が表れにくい病気
  • 糖尿病は、インスリンが何らかの要因によって不足したり作用しなくなったりする病気
  • 1型、2型が主な糖尿病
  • 症状の進行によって三大合併症(糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症)や動脈硬化になる可能性もある
  • 足・爪に目に見える初期症状が現れることもある

東中野駅近周辺で糖尿病の検査や治療ができるクリニックを知りたい方は、ぜひこちら[公開された140の記事へのリンク貼る予定]の記事をご参照ください。